社会起業家アワード2012を受賞した当時のサンティさんインタビュー 

ネパール語インタビューの日本語訳

成功は最終目的ではなく、失敗したら終わりでもない。大事なのは続けること。

         

                                          ウィンストン・チャーチル

(サンティさん)

学費が払えないために、私の娘はSLC試験(10年生の卒業試験)を受ける前に学校を退学せざるをえませんでした。教育委員長は、学費の支払を義務付けていました。

私の娘は、全ての試験で良い成績をおさめていたのです。

私は、経済状況を説明して、娘に奨学金を与えてもらうよう、学校にお願いしていました。しかし、そのお願いは教育委員会まで届くことはなく、娘は退学させられました。

 

そのようなつらいことがありましたが、私たちは信念を失わずに働き続けました。そして、成功をおさめました。

 しかし、ここまでの道のりは本当につらいものでした。

 

(ナレーター)

しかしつらかった日々の記憶もこの立ち昇る湯気のように消えてなくなろうとしています。

2012年にスリヤ・ネパール・アシャ・社会起業家賞を獲得したためです。

この賞は、喜びや幸せだけではなく、彼女に経済力ももたらしました。

(ディルマヤ ラマさん)

受賞してから、このような容器を買えるようになりました。

私たちは、小さな染め物用の寸胴鍋 タンス ショーケース、少し後に大きな寸胴鍋を買いました。

この大きな寸胴鍋を買ったお陰で仕事も増えてきています。


(*訳者注:小さい鍋だと一度に沢山のオーダーを受注出来ないという意味で、この大きな鍋を買ったおかげで大きな仕事を取ってこれるようになったという意味に理解できる)

(サンティさん)

私の以前の経済状況と現在の経済状況は大変変わりました。

この賞を頂いたおかげで私のビジネスは大きくなってきています。そして、多くの女性たちに仕事を与えることが出来るようになりました。

私たちのグループにも利益をもたらしています。

 


(ナレーター)

この賞を受賞したおかげで社会的にも彼女の努力は認められたことになりました。

(*訳者注:ナレーションでは自分自身が信じる紐が社会に結ばれたと言っています)

(工房で働く女性)

彼女(サンティさん)が受賞してから、私たちのモラルや自信も高まりました。

私たちは、自分たちで何かを成し遂げて、生計を立てることが出来ると感じました。

 

(ナレーター)

受賞は、家族に幸せを再びもたらしました。

 

(サンティさんの娘)

家族にとって一番大切なことは、経済状況が良くなったことです。受賞のあと、経済状況が強くなり、再び幸せな家族に戻ることが出来ました。

(サンティさん)

受賞の前は1日に15枚のオーダーしかありませんでした。

しかし今は1日に40枚ものオーダーの布を染めています。以前と比べると2倍以上です。

 

 (村の男性)

このビジネスに関わっているのは女性だけだったので、成功しないだろう、と思っていました。

しかし、彼女たちはビジネスを進めることに成功しています。

 

(ナレーター)

女性の能力について過小評価していた社会も、彼女の成功を前に何もいえなくなってきました。

 

(サンティさん)

当時、周りの人たちが私に対して言い放った言葉や態度、私自身の悲惨な経済状況などの辛かった過去を思い出します。

 あの当時言われたことで今でも忘れられない言葉があります。

私が布の染色を生業にしていることを揶揄して「肉を染めてスクティ(干し肉)を作って売れば、もっと早く稼げるのに。貴女のこのビジネスで儲けが出るのは一体いつになることやら。」と言われたことがあります。こんなことを言われ続けた日々を私は忘れません。

「毒のない蛇が役に立たないのは、向上心のない人間が役に立たないのと同じだ」という諺を胸に刻みつけながら前進しつづけました。そして私達5人で始めたビジネスはここまでようやく辿り着いたのです。


音楽とともに女性たちの笑顔が映しだされてEND